年間およそ1万5千人(上皮内がんを含む)が罹患し、約3500人が死亡している「子宮頸がん」。予防できるがんであるにも関わらず、一般の人々の関心はまだまだ不十分なのが実情だ。
さらに近年は、患者さんの若年化が顕著にすすんでいるという。予防のためのワクチン接種及び定期健診の重要性について、熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学教授である片渕秀隆氏に話を聞いた。
■若年化する「子宮頸がん」 早期発見が重要課題
-近年、子宮頸がんの若年化が進行しているそうですが。
「ええ、約30年前までは40歳を過ぎた中・後年女性の患者さんがほとんどでしたが、近年は20~30最大の患者さんが急増しています。ライフスタイルの変化などにより、日本の女性の初交年齢が低くなったことが若年齢化の原因の一つと考えられます。
『子宮頸がん』とは、子宮下部の、膣とつながる長さ役3センチの円筒状の部分の粘膜に、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが持続感染することで発生する疾患です。
HPVは、皮膚や粘膜に接触感染して『イボ』をつくる、ごくありふれたウイルスで、誰でも感染する可能性があります。性交の経験がある女性なら、大半がHPVに感染したことがあると考えても間違いはないでしょう。つまり子宮頸がんは、大半の女性にとって罹患の可能性がある癌なのです。」
-様々な自治体が子宮頸がん検診の受診を呼びかけていますね。
「子宮頸がんは、HPVが感染した箇所の細胞が5~10年かけて『前がん病変』となり、子宮頸がんへと進行します。進行したがんになるまでに10年前後かかるわけですから、定期的に検診を受けていれば前がん病変の段階、あるいは初期のがんでの発見が可能で、子宮本体を温存する低侵襲な手術で治療できます。
ところが、発見が遅れてがんが進行すると、子宮全体を切除する治療が必要になります。子どもを生む可能性が絶たれてしまうのですから、患者さんご自身はもちろん、パートナーやご家族にとっても将来の夢を失いかねない大変残念なことになるのではないでしょうか。だからこそ、子宮頸がん検診の重要性が各方面で訴えられているのです。」
■初交前のワクチン接種でハイリスクHPVの感染を予防
-「HPVワクチン」が接種可能になったと聞きますが。
「現在、約150種類のHPVのうち18種類が子宮頸がんの原因となる『ハイリスク型』だと確認されています。このうち、日本人の患者さんの約6~7割が感染している16型と18型に対して有効なワクチンを、2009年末から10歳以上の女性は摂取できるようになりました。
6ヶ月間に定期的に計3回の接種が原則で、若い女性ほど高い効果を発揮します。仮にわが国の12歳女児全員にワクチン接種を行ったとすると、子宮頸がんの発症及び死亡者数が、7割以上減少すると考えられています。
ただし、このワクチンは全てのハイリスク型HPVに有効というわけではなく、接種の時点ですでに感染しているウイルスを排除する効果もありません。
また、現時点では20年の有効性が見込まれていますが、一生涯持続するわけでもありません。したがって、ワクチン接種に加えて子宮頸がん検診も定期的に受診することが、非常に重要なのです。」
■男性も、ともに考えたい子宮頸がん予防と早期発見
-ワクチン接種率や子宮頸がん検診受診率は高まっているのですか。
「残念ながら我が国では、摂取率検診受診率も、先進諸国と比較して非常に低いのが現状です。子宮頸がんに対する偏見や羞恥心などが根強く、『うちの娘に限って』という意識をお持ちの保護者も少なくありません。
しかし、前述したとおり、子宮頸がんは大半の女性が罹る可能性のあるがんですから、身近に迫っている脅威と考えねばならないのです。
子宮頸がん予防は、女性だけの問題ではありません。女性にHPVが感染する原因を作っているのは男性なのですから、性交時に今度ー^無を使用して感染を予防する、不特定多数の女性との性交を避ける。パートナーや娘さんに、ワクチン接種や子宮頸がん検診を勧める……など、男性にできる対策を勇気をもってパートナーやご家族とともに話し合ってみてはいかがでしょうか。
最後に、子宮頸がんと『子宮体がん』とを混同している人も多いようですが、原因も発症部位も、症状の進み方も治し方も全く異なるがんです。
子宮頸がんは、ワクチンや検診の重要な対象であることを理解していただくためにも、2種類のがんは別物であることを知っておいて下さい。」
熊本大学 大学院生命科学研究部 産科婦人科学 教授 片渕秀隆氏のお話(2011.05.19朝日新聞広告記事)
東日本大震災で保護者を失った子どもたちを支えようと、建築家の安藤忠雄さんらが18日、「桃・柿育英会 東日本大震災遺児育英資金」を立ち上げた。毎年1万円の寄付を10年間続ける会員を募る。
両親または片親を亡くした子どもが主な対象で、同会は1千人程度いると見ている。
同会は阪神・淡路大震災を機に発足。約5億円を集め、兵庫県教委を通じて418人の孤児・遺児の小中高校時代に月額6千円~2万円を給付した。
今回は1万人を目標に会員を募り、来年度から給付する。給付額は寄付総額と対象児の人数で決める。
発起人には、ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊さん、指揮者の小澤征爾さん、ファーストリーディング社長の柳井正さんらが名を連ねた。
問い合わせは事務局(06 6371 2227)へ。(2011.05/19朝日新聞より)
ヒブや肺炎球菌をご存知ですか?
これらの菌により、子供たちが細菌性髄膜炎や菌血症といった、命にかかわる病気になることがあります。
予防が重要なため、WHO(世界保健機関)では世界中の国にワクチンの定期接種化を勧めています。
アメリカでは接種していないと、保育園や小学校への入学ができないことあります。
では百日咳やジフテリアなどの病気は流行していないので、予防接種は必要ないのでしょうか?
多くの人が予防接種を受けて抵抗力をつけているから、その病気が流行していないと考えることができます。受けない人が増えるとまた流行するかもしれません。
副反応として、接種部位が腫れたり、しこりになったり、熱が出たりすることがありますが、ほとんどが一時的です。
ごくまれに重い副反応が起こることがありますが、副反応を恐れるあまり、病気の恐ろしさを忘れることのないようにしたいですね。
■情報クリップ
ヒブと肺炎球菌ワクチン接種も4月1日から再開されました。
ワクチンの同じ接種に関しては、他の国々では安全性に問題ないとされてきました。
病院に何度も通う必要がなく、早く免疫をつけることができます。
心配なときはかかりつけ医に相談を。
あきもとこどもクリニック 秋元 馨先生のお話(リトルママより)
HPVは性交経験のある人ならだれもが感染する可能性があるので、だれもが子宮頸がんになる可能性があると言えます。「子宮がんなんて自分には関係ない」と思い込んではいけません。
今では世界の120カ国以上で、HPV感染を予防するワクチン接種と検診による早期発見を組み合わせたがん予防策が取り組まれています。
日本でも2009年にワクチンが認可され、ワクチン接種とがん検診を無料化する政策が広がりました。しかしながら、ワクチンに不安を感じている人が少なくないようです。
受診者からよく受ける質問のひとつは、ワクチンの安全性は大丈夫なのかといことです。
HPVワクチンは、ウイルスの殻を使うもので、病原性のあるDNAは含まないので、感染力がありません。
その意味で安心です。日本ではすでに約60万人が接種を受けました。
死亡例はなく、副反応として報告されているのは注射した部分の筋肉痛や腫れ、疲労感などです。
ただし、他のワクチンと同様に、アナフィラキシーショックなどの激しいアレルギー反応がまれに起こりうると考えられます。接種後はすぐ帰宅せず、30分ほど様子を見ることが大切です。妊娠中、熱があるとき、体調がよくない時は接種を避けたほうがいいでしょう。
ワクチンの効果が何年ぐらい続くかも、よく聞かれます。
このワクチンが使われるようになってから約8年が経ちましたが、病気への抵抗力の度合い(抗体価)が高く保たれていることが確認されています。
抗体価の減り方から予想すると、約20年間は効果が続きそうだとみられます。
一生続くかどうかついては今後のデータが必要です。
ここで、ぜひ理解していただきたいのは、「ワクチン接種しても、100%子宮頸がんにならなくなるわけではない」ということです。
HPVワクチンは子宮頸がんの大部分を予防しますが、ワクチンが効かないタイプのウイルスもいます。
がんの予防効果としては、性交開始前の人で70%、性交開始後の人でも50~60%と報告されています。
ワクチン接種だけでは十分でなく、やはり早期発見のためには子宮頸がんの検診を定期的に受けることが大切です。
ワクチンと検診を組み合わせることで、100%予防できる、といえるでしょう。
九州大卒。九州がんセンターなどに勤務、九州労災病院産婦人科部長を経て2010年から現職。
(ウイメンズKMクリニック院長 福岡市医師会会員 柏村 賀子先生のお話 2011.05.18朝日新聞)
「キシリトール」といえば、むし歯予防として認知度の高い天然の甘味料です。
お母さま方からも「むし歯予防のために積極的に採った方がいいですか?」と質問されることもしばしばです。今回のお話は、上手なキシリトールの使い方です。
キシリトールは砂糖に近い甘さなのに、カロリーは砂糖の4分の3です。食べ過ぎると、お腹が緩くなることがあるので、そのときは量を減らしてみてください。
砂糖などの糖分は、口の中でむし歯菌により分解されて、歯を溶かす「酸」が作られます。キシリトールは、むし歯菌に代謝されないため「酸」を作りません。つまり、砂糖のように甘いキシリトールですが、むし歯にはならない、というわけです。
50%以上キシリトール配合であれば、「キシリトール入り」と表示されます。言い換えれば残りは砂糖が入っていることになります。100%配合の商品を選ぶことも大切です。
ガムが噛めない幼児にはタブレットをお勧めします。タブレットは舐めるものなので、口の中に長く残りやすく、小さなお子様に与えるには良いと思います。
キシリトール効果については証明されていますが、過信しすぎてはいけません。「歯を磨く」、「フッ化物を使って予防する」、「おやつ・飲み物等の内容や回数に注意して、正しい食生活をする」「歯科医院での定期的な予防管理」などを前提としたうえで、上手に利用しましょう。
同じ食べるのなら、キシリトール入りのものを選ぶという考え方が適切だと考えます。
最近では、むし歯菌の母子感染リスクを下げるために、妊婦のキシリトール摂取を勧めているそうです。
妊娠中、間食が増え、甘いものを取りたくなるのに歯磨きはおっくうで…という妊婦さんには、キシリトールガムがお勧めです。
噛むことで、唾液の分泌が促進され口の中の清浄効果が高まりますし、カロリー控えめなのもうれしいですよね。Kid’s歯科とび 下飛田 道子先生のおはなし(リトルママより)