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ワクチン3 ヒブ髄膜炎から子守ろう
「ヒブ」という名前の細菌を聞いたことがありますか。
「インフルエンザ菌b型」の略称(Hib)で、乳幼児に重い感染症をおこす病気のことです。
インフルエンザ菌は、名前は似ていますが、インフルエンザウイルスとは全く違う別物です。
乳幼児の20人に1人の鼻の中に住んでいて、保育園や幼稚園で感染していきます。
たくさんの種類があり、中耳炎や肺炎の原因としてよく知られています。
そのなかで、b型は特に病原性が強く、血液中にはいってからだの中を巡り、その一部は脳に達して髄膜炎を起こします。
また、物を食べるとき、気管にふたをする役目をする喉頭蓋(こうとうがい)というところに感染して窒息死を引き起こすこともあります。
いずれも進行が早く、見つかったときには手遅れということが多いです。
ヒブによる髄膜炎は乳幼児期(2ヵ月~5歳)に多く、日本では年約400人がかかります。
いったん発症すると治療しても4%が死亡し、30%は発達の遅れやまひ、けいれんなどの重い後遺症で長期の療養生活を送ることになります。
欧米では1980年代後半からヒブワクチンの接種が始まり、現在では世界100カ国以上で行われています。
米国ではワクチン接種が始まってから、ヒブ感染症が激減しました。
日本でも2008年12月からワクチン接種が始まりました。
今年から公的助成が始まり、北九州地区で1月から、福岡地区では3月から無料でワクチンを受けられるようになりました。
ただ、ヒブワクチンの接種は3月に一時見合わせられました。
接種後の死亡例が、小児用肺炎球菌ワクチンとあわせて7例報告されたためです。
専門家会議で詳しく検討され、死亡との直接的な因果関係はないとの見解がまとまりました。
このとき問題になった複数のワクチンの同時接種についても、欧米での実績から「安全性に問題はない」とされました。
接種は4月1日から再開されました。
ヒブワクチンは2ヶ月~5歳未満が対象です。乳幼児は感染を抑え込む力のつき方が悪いため、数回接種する必要があります。しかし、子どもが小さい時期ほどヒブ感染症を起こす率も高いですから、2ヶ月になったらできるだけ早くワクチンを接種することをお勧めします。
元気で生まれてきた大切な赤ちゃんの命を、ワクチンで防げる病気で落としてはなりません。
ワクチンは子どもの命を守るプレゼントだと思います。
福岡地区小児科医会理事 くろからみちこ小児科クリニック院長 黒川美知子さんのお話
九州大卒。九大病院、浜の町病院勤務、済生会福岡総合病院小児科部長を経て2000年に開業。
(2011.05.25朝日新聞)
「ヒブ」という名前の細菌を聞いたことがありますか。
「インフルエンザ菌b型」の略称(Hib)で、乳幼児に重い感染症をおこす病気のことです。
インフルエンザ菌は、名前は似ていますが、インフルエンザウイルスとは全く違う別物です。
乳幼児の20人に1人の鼻の中に住んでいて、保育園や幼稚園で感染していきます。
たくさんの種類があり、中耳炎や肺炎の原因としてよく知られています。
そのなかで、b型は特に病原性が強く、血液中にはいってからだの中を巡り、その一部は脳に達して髄膜炎を起こします。
また、物を食べるとき、気管にふたをする役目をする喉頭蓋(こうとうがい)というところに感染して窒息死を引き起こすこともあります。
いずれも進行が早く、見つかったときには手遅れということが多いです。
ヒブによる髄膜炎は乳幼児期(2ヵ月~5歳)に多く、日本では年約400人がかかります。
いったん発症すると治療しても4%が死亡し、30%は発達の遅れやまひ、けいれんなどの重い後遺症で長期の療養生活を送ることになります。
欧米では1980年代後半からヒブワクチンの接種が始まり、現在では世界100カ国以上で行われています。
米国ではワクチン接種が始まってから、ヒブ感染症が激減しました。
日本でも2008年12月からワクチン接種が始まりました。
今年から公的助成が始まり、北九州地区で1月から、福岡地区では3月から無料でワクチンを受けられるようになりました。
ただ、ヒブワクチンの接種は3月に一時見合わせられました。
接種後の死亡例が、小児用肺炎球菌ワクチンとあわせて7例報告されたためです。
専門家会議で詳しく検討され、死亡との直接的な因果関係はないとの見解がまとまりました。
このとき問題になった複数のワクチンの同時接種についても、欧米での実績から「安全性に問題はない」とされました。
接種は4月1日から再開されました。
ヒブワクチンは2ヶ月~5歳未満が対象です。乳幼児は感染を抑え込む力のつき方が悪いため、数回接種する必要があります。しかし、子どもが小さい時期ほどヒブ感染症を起こす率も高いですから、2ヶ月になったらできるだけ早くワクチンを接種することをお勧めします。
元気で生まれてきた大切な赤ちゃんの命を、ワクチンで防げる病気で落としてはなりません。
ワクチンは子どもの命を守るプレゼントだと思います。
福岡地区小児科医会理事 くろからみちこ小児科クリニック院長 黒川美知子さんのお話
九州大卒。九大病院、浜の町病院勤務、済生会福岡総合病院小児科部長を経て2000年に開業。
(2011.05.25朝日新聞)
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