幼児からの子育てに関する様々な情報を紹介しています。特にワクチン情報には力を入れています。
予防接種は、病原体や毒素の力を弱めたワクチンを接種することで免疫力を高め、病気を予防するものです。
天然痘を防ぐ種痘法を英国のジェンナーが発見してから約200年後、天然痘は根絶されました。ワクチンが感染症の頻度を大幅に減らし、人類を病気から救った功績ははかり知れません。
ワクチンには、病原体の毒性を弱めた「生ワクチン」、病原体から抗原となる部分を抽出して複製した「不活化ワクチン」などの種類があり、より安全性を高める研究や開発が昼夜続けられています。
ただ、もともと体になかった抗原を注射や口から与えて抗体を作るので、接種後の副反応(副作用)を完全になくすことはできません。重大な副反応はまれです。大部分は、注射したところが赤くなったり腫れたり、熱が出たりするケースで、個人差があります。
このため、接種前に問診表や診察で身体の状態をチェックします。ぜんそくやアレルギーがある人、神経や心臓、腎臓に慢性疾患を持つ人などがかかりつけ医で接種を受けられなかった場合は、指定の予防接種センターで、体調なども踏まえて、ワクチンの有益性がリスクを上回っているかを見極めることがあります。
ワクチンが効く病気は、かかると重症化しやすく後遺症が残ることもあり、最悪の場合は死に至ります。病気の治療費はワクチン代よりかなり高いので、ワクチン接種率をあげると病原体保持者が減るため、病気の頻度がいっそう減ることも期待できます。
日本は、海外よりワクチン接種に慎重な「後進国」とよく言われますが、変化の兆しもあります。日本医師会が昨年秋、予防接種で防げる病気のワクチン接種を希望する子供全員が公費で受けられるよう署名を呼びかけたところ、全国で270万筆が集まりました。
昨年秋に成立した国の補正予算を受け、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザ菌b型(ヒブ)、小児用肺炎球菌の3種のワクチンが新たに公費で受けられるようになりました。
HPVワクチンは子宮頸がんを予防します。中学1年から高校1年の女子が対象です。ヒブと肺炎球菌は乳幼児に細菌性髄膜炎を起こす主要な菌で、4歳までが接種対象です。
ワクチンを上手に使う社会にするため、大人になるまでにかかる感染症と必要な予防接種についての正しい知識を、親子とも見につけることが大切です。
福岡県医師会理事 宗像医師会介護老人保健施設よつづか施設長)細山田 隆さんのお話
九州大卒。九大病院勤務、福岡赤十字病院副院長を経て2007年から現職。
小児科が長く、県医師会では予防接種を担当(2011.05.11朝日新聞より)
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